あなたの「困った」を「相談してよかった」に変える行政書士・相続コンサルタントのなかしま美春です。

全33回のコラム、第13回をお届けします。

この連続コラムでは、「相続でトラブルになりやすいこと」、そして「今できること」について、わかりやすくお伝えしていきます。最後に、関連する動画へのリンクがありますので、ぜひ併せてご活用ください。

このコラムが、相続について考える小さなきっかけとなり、
そして「家族で話す」「書き残す」という第一歩につながることを願って――

ぜひ最後までお付き合いください。
全33回の一覧は>>こちら

【連続❢相続コラム】第13回:相続人に「未成年」の方がいる

写真はイメージです

未成年のお子さんをお持ちの20代~40代の皆さん
「遺言書」と聞いても、「遺言書」なんて自分には、まだ早い、自分には関係ないものだと思ってはいませんか?

死は誰にでも訪れるもの。
そのタイミングは誰にも予想することはできません。

誰かが亡くなり相続手続きを行う場面で、相続人の中に未成年の方がいると、その手続きは一気に複雑になります。今回は、その理由と事前にできる対策をお話しします。

遺産分割協議と「特別代理人」

誰かが亡くなり相続が始まると、相続人全員で遺産の分け方について話し合う必要があります。
この話し合いのことを「遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ)」と言います。
遺産分割協議に参加ができる条件として、その相続人の方が、判断能力を持ち合わせていること、があります。

しかし、未成年者は法律上「判断能力が十分でない」とされ、重要な契約や手続きには制限があるため、未成年者本人が遺産分割協議に参加することはできません。

そのため、未成年の相続人がいる場合は、家庭裁判所に「特別代理人(とくべつだいりにん)」の選任申立てをして、未成年者の代わりに遺産分割協議に参加する代理人を選んでもらう必要があります。

■「特別代理人」って、どんな人?

特別代理人とは、未成年者が自分で判断して契約や手続きを行うことが難しい場面で、その方の代わりに法的な手続きを行うために家庭裁判所が選任する代理人のことです。

たとえば、未成年者が親の財産を相続する場合、本来であれば親権者が代理して協議に参加しますが、その親権者自身も相続人であると「親と子の利益が対立する」ことになるため、家庭裁判所が親とは別の特別代理人を選ぶ必要があるのです。

祖父や祖母などの親族がなることもありますが、専門家(弁護士や司法書士など)が選ばれることもあります。特別代理人はあくまで「未成年者の利益を守るため」に選任(※)されます。
そのため、遺産分割の内容も、未成年者に不利益がないように家庭裁判所が厳しくチェックしたうえで審判されます。
特別代理人は、未成年者の利益のために動くため、未成年者の法定相続分は死守する内容で遺産分割が行われるのです。
例えば、亡くなった方の財産が、自宅の不動産と、少額の預金のみだった場合は、未成年者の法定相続分が預金では足りない場合は、自宅の不動産を共有名義にせざるを得ないのです。

(※)特別代理人は遺産分割協議など「特定の手続き」において代理するために選任されるもので、手続きが終われば役割も終了し、成年後見人のように長期的に関与し続けるわけではありません。

手続きが複雑になる理由

特別代理人の選任には、家庭裁判所へ提出する申立書の作成や必要書類の収集、審査のための時間がかかります。これにより相続手続き全体が長引いたり、思わぬ費用や手間が増えるケースも少なくありません。

相続税の申告、各種名義変更など、期限が決まっている手続きが多い中で、特別代理人選任のための時間が加わることで、残された家族にとって大きな負担となるのです。

また、特別代理人に専門家(弁護士や司法書士など)が選ばれれば、当然ながら専門家への報酬も支払わなくてはならず、金銭的な負担も増すことになります。

■行政書士の立場からの解決策

こうした手間や費用を減らすために、事前にできる対策は、未成年の子どもがいるご夫婦それぞれが【遺言書】を作成しておくことが非常に有効です。お互いに「全財産を配偶者に相続させる」という内容の遺言を作成しておくだけで、未成年者のために、特別代理人を選ぶ必要がなくなります。

20代・30代・40代の方は、「まだ若いから遺言書なんて必要ない・関係ない」と思っている方が多いですが、突然のことが起きたときに、「早めの遺言書」があれば、あなたの大切な家族を守れます。

【「困らない相続」がいちばん!】

いかがでしたか?

「まだ若いから大丈夫」と思っていても、万が一は、誰にいつ訪れるかは予想ができません。その時に、残された大切な家族が大変な思いをせずに済むように、今できること「早めの遺言書」を作成しておくことをおススメします。

✨「早めの遺言書」で、あなたの大切な家族を守れます✨

不安を感じた方や、「うちのケースだとどうすればいい?」と思われた方は、ぜひお早めに専門家へご相談ください。

「あれ?私の場合はどうなんだろ?」と気になった方へ

このコラムの執筆にあたり、一般社団法人 相続診断協会の「相続診断チェックシート」のチェック項目の一部を参考にさせていただきました。

「相続診断チェックシート」を使えば、ご自身の状況を診断することができます。
30個あるチェック項目に答えるだけで、ご自身の現状がわかり、「このまま何もしないと、何が問題になるのか」をあぶり出すことができます。
ご興味のある方は、「「相続診断チェックシート」診断希望」と、お気軽に当事務所までご相談ください(^^)