あなたの「困った」を「相談してよかった」に変える行政書士・相続コンサルタントのなかしま美春です。

全33回のコラム、第6回をお届けします。

この連続コラムでは、「相続でトラブルになりやすいこと」、そして「今できること」について、わかりやすくお伝えしていきます。

このコラムが、相続について考える小さなきっかけとなり、
そして「家族で話す」「書き残す」という第一歩につながることを願って――

ぜひ最後までお付き合いください。
全33回の一覧は>>こちら

【連続❢相続コラム】第6回:先祖名義のままになっている土地・建物がある

写真はイメージです

「山の一部が先祖名義らしいけど、場所もよくわからない」
「父が住んでいた土地の登記簿を調べたら亡くなった祖父名義のままだった」

「実家の土地建物の名義ですか?調べたことがありません」

相続の現場では、こうしたお話を伺うことは決して珍しくありません。

しかし、土地や建物の名義を「よくわからないまま放置」することは、非常に面倒な「相続トラブル」につながります

今回は、相続した土地・建物の名義変更の放置が原因で起こる相続トラブルと、その予防策を解説します。

放置すると何が危ないの?

相続時に「名義変更」をせずに放置しておくと、時間の経過とともに相続人が増えてしまい、とても「危険」なんです!

なぜ相続人が増えるの?

相続では「亡くなった人の配偶者と子ども全員」が基本的な相続人(法定相続人)になります。

例えば、祖父→父→本人と3代にわたり、名義変更を放置した場合、相続人が20人以上になるケースも珍しくありません。

具体的な例をあげてみます。

●最初は祖父の相続人(その配偶者と子どもたち)だけ

●その相続人のうちの誰かが亡くなると、さらにその配偶者や子どもが相続人に加わる

●さらにその子どもが亡くなれば、その配偶者や子ども(祖父からみると孫)も相続人になる

というように、名義変更をしないまま世代が進むと、相続人が「ねずみ算式」に増えていくというわけです。

なぜ危険なの?

それは、いざ相続のための話し合い(遺産分割協議)や、登記をするときには、その全ての相続人の同意と印鑑証明書が必要となるからです。

相続人の数が多いと、

  • 住所や連絡先の調査
  • 遠方で疎遠な親族との交渉
  • 相続放棄の有無の確認

    など、手間と時間がかかり費用もかさんでしまうのです。

さらに、相続人の中に行方不明者や認知症の方がいる場合は、家庭裁判所の手続きも必要となり、手続きが非常に複雑化します。
相続人同士の話し合いができず協議が進まない場合は、弁護士に依頼する事になるため、弁護士費用の負担も発生することになります。

(参考コラム:【連続❢相続コラム】第3回:相続人に長い間、連絡の取れない人は居ませんか?)

「こんなに面倒な土地、売ってしまいたい!」と思っても、不動産を売却するためには現在の所有者名義に登記されていることが求められるため、売却すらできません。

このように、相続した土地・建物の名義変更を長期間放置したままにして、世代を超えて相続人を大幅に増やすことは「相続トラブルの時限爆弾」を解除せずに放置するようなものなのです。

2024年4月からは「相続登記」が義務化。罰則も…

2024年4月1日からは、相続登記の義務化も始まりました。
相続や遺贈で不動産を取得した場合、3年以内に登記をしなければ10万円以下の過料が科される可能性があります。
気を付けなければいけないのは、過去の相続分も義務化の対象となる点です。

(参考:東京法務局ホームページより)
https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/page000275.htm

相続税が必要な場合、ココにも注意!!

相続税の申告・納付には「相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」という期限があります。

遺産分割協議書の作成自体に法的な締め切り期日はありませんが、相続税申告の必要がある場合には「10ヶ月以内」に遺産分割協議を終えるのが実務上重要となってきます。

相続人の人数が多いケースでは、この「10ヶ月以内」の期限も大きな負担となってしまうのです。

対策方法は?

相続が発生する前に、登記簿を確認し、今できる手続きを終わらせておく

まず、相続が発生する前に、登記簿を確認して、今のうちにできる手続きは終わらせておきましょう。

①土地・建物の登記簿を確認し、不動産の名義をチェック。現状と一致しているか確認し、必要があれば名義変更登記を行う。
②戸籍類を早めに集めておく。
 →もし先代名義のままの場合、何世代もさかのぼって戸籍類を集める必要がある場合は、早めに取り組みましょう。

一人では難しいときは、専門家へ

登記の専門家は「司法書士」です。一人で解決できない時は、抱え込まずに信頼できる司法書士にご相談ください。

なかしま美春行政書士事務所では、相続に詳しい司法書士と連携しています。安心して当事務所にご相談ください。

「困らない相続」がいちばん!

いかがでしたか?

相続した土地・建物の名義変更をしないまま放置すると、相続手続きが複雑になり、かなりの時間と手間がかかることがお分かりいただけたと思います。

次の世代に「相続トラブルの時限爆弾」を残さず、今のうちにできる手続きは、ご自分達の代で終わらせておきましょう。

「困らない相続」対策をしたい方は、ぜひ当事務所にご相談ください。

「あれ?私の場合はどうなんだろ?」と気になった方へ

このコラムの執筆にあたり、一般社団法人 相続診断協会の「相続診断チェックシート」のチェック項目の一部を参考にさせていただきました。

「相続診断チェックシート」を使えば、ご自身の状況を診断することができます。
30個あるチェック項目に答えるだけで、ご自身の現状がわかり、「このまま何もしないと、何が問題になるのか」をあぶり出すことができます。
ご興味のある方は、「「相続診断チェックシート」診断希望」と、お気軽に当事務所までご相談ください(^^)