あなたの「困った」を「相談してよかった」に変える行政書士・相続コンサルタントのなかしま美春です。全33回のコラム、第4回をお届けします。
この連続コラムでは、「相続でトラブルになりやすいこと」、そして「今できること」について、わかりやすくお伝えしていきます。
このコラムが、相続について考える小さなきっかけとなり、
そして「家族で話す」「書き残す」という第一歩につながることを願って──
ぜひ最後までお付き合いください。
(全33回の一覧は>>こちら)
第4回:一部の子どもや孫にだけお金をあげている

「長男の大学費用は全部出したけど、次男は奨学金で通ったの」
「同居している孫には学費や習い事の月謝を援助したけど、他の孫には何もしていないのよね…」
「子どもの中でも、経済的に苦労している子にだけ毎月仕送りしているわ」
こうした“ずっと昔の差”や“ちょっとした援助”が、実は相続トラブルの火種になることがあります。
というのも、相続が始まると、相続人同士が過去にさかのぼって公平性を問い始めるケースがあるからです。
「兄さんは学費を出してもらっていた」
「姉さんは家を買う時に援助してもらっていた」
――そんな話が持ち上がると、相続の場は一気に“争続”の場に変わってしまいます。
■行政書士の立場からの解決策
こうした問題を防ぐには、まず「現状の把握」が重要です。
✅推定相続人は誰になる?
✅相続財産は何がある?
✅これまで誰にどのような援助をしてきた?
棚卸しをするように、これらを考えてみましょう。
そのうえで、「自分の想い」をきちんと残すために、公正証書遺言の作成をおすすめします。
特に付言事項(ふげんじこう)を活用することで、「なぜ、遺言内容をそのようにしたのか」を相続人に伝えることができます。
付言事項とは、法的な効力はないものの、遺言者の「想い」や「背景」を自由に伝えられる文章(手紙)部分のことです。
■付言事項の例
- 長男には学費としてすでに多額の支援をしてきましたので、今回の相続では次男に多く分けます。
- 同居の孫の学費を支援してきましたが、これは私の通院の手伝いや介護をしてくれたお礼です。
- 長女は経済的に自立しているため、援助が必要な他の兄弟姉妹に配慮しました。理解してほしい。
私自身、こうしたメッセージが相続人の心をやわらげ、兄弟姉妹の関係をやわらげてくれるケースを見てきました。
【「困らない相続」がいちばん!】
いかがでしたか?
「家族だから大丈夫」と思っていても、“他の家族には見えていない不公平”が相続時の争いを生むことがあります。
だからこそ、ただ「公平」だけを考えるのではなく、「納得感」を重視した遺言を残すことが、未来の家族の幸せを守るカギになります。
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✨感謝で迎える「相続」は「争族」になりにくい✨
すでにトラブルの懸念がある場合や、対策として公正証書遺言を検討している方は、ぜひお早めに専門家にご相談ください。
「あれ?私の場合はどうなんだろ?」と気になった方へ
このコラムの執筆にあたり、一般社団法人 相続診断協会監修の「相続診断チェックシート」のチェック項目の一部を使用させていただきました。
この「相続診断チェックシート」を使えば、ご自身の状況を診断することができます。
30個あるチェック項目に答えるだけで、ご自身の現状がわかり、「このまま何もしないと、何が問題になるのか」をあぶり出すことができます。
ご興味のある方は、「「相続診断チェックシート」診断希望」と、お気軽に当事務所までご相談ください(^^)