あなたの「困った」を「相談してよかった」に変える
行政書士・相続コンサルタントの なかしま美春 です。
亡くなった母方の祖父が、庭に植えたみかんの木が、今年も実をつけました。

みかんは2種類あります。
ひとつは「大橘(おおたちばな)」
パール柑とも呼ばれる文旦の仲間で、果汁は控えめながら、プチプチとした食感と、爽やかな甘み、ほのかな苦みが特徴です。
もうひとつは「スイートスプリング」。
温州みかんと八朔を掛け合わせた柑橘で、しっかりした果肉と、驚くほどの甘さ、ジューシーさが魅力のみかんです。
最近になって母から聞きました。
この木は、祖父が「孫たちに食べさせてあげたい」と思い、植木市で苗を買ってきて、庭に植えたものだったそうです。
みかんは、苗木を植えてから実がなるまでに3〜5年、安定して収穫できるまでには5〜10年ほどかかると言われています。
大橘は、祖父が生きているうちに実をつけ、祖父自身も食べることができました。
けれど、スイートスプリングはなかなか実をつけず、祖父は結局、その味を知ることはありませんでした。
その祖父の土地は、ご縁があって、父の友人が購入してくださいました。
今年は事情を話し、特別にみかん狩りをさせてもらいました。
そのとき、ふと妹が言いました。
「でも、ずっとこうしていられるわけじゃないよね」
「…みかんの木、うちに移植しようよ」
私も母も、正直なところ
「え?そこまでしなくてもいいんじゃない?」と思いました。
けれど妹は、いわゆる“おじいちゃんっ子”。
このみかんの木は、妹にとって「木」ではなく、祖父との時間や記憶そのものなのだと思います。
妹は真剣な表情で、
「20万円までは私が出すから、足りない分はお父さんお願いね」と。
……突然のことで、父は完全にとばっちりでした(笑)。
相続の専門家の立場からー
このやり取りを見ていて、相続の現場を数多く見てきた行政書士として、ふと思ったことがあります。
それは、相続の話には、必ずしも「相続人」だけが関わるわけではないということです。
今回でいえば、
妹は相続人ではありません。
父も、この土地の相続人ではありません。
それでも、
・「おじいちゃんとの思い出を残したい」妹
・「家族の気持ちを受け止めざるを得ない」父
それぞれの立場と想いが、自然と相続の話に入り込んできます。
相続の相談現場でも、
✔ 相続人ではない配偶者
✔ 同居していた家族
✔ 面倒を見ていた子や孫
✔ 実家を守ってきた兄弟姉妹
こうした「法律上は相続人ではない方」の想いが、
話を複雑にしたり、逆に解決のヒントになることも少なくありません。
法律だけを見れば「関係ない人」。
けれど、感情や現実の生活まで含めれば、「決して無視できない人」。
相続が難しいのは、
この法律と気持ちのズレが、あちこちで起こるからなのだと思います。
この出来事を通して、私は改めて実感しました。
相続は、決してお金や不動産、手続きだけの話ではないということを。
同じものを相続しても、
そこに込められた想いや大切さは、人それぞれまったく違います。
みかんの木を移植するかどうかは、まだ決まっていません。
けれど、この話題が出るたびに、家族みんなで祖父のことを思い出し、笑ったり、語り合ったりする。
それ自体が、
私にとっては「この相続はうまくいっている」と思える、大切な時間です。

相続の相談をお受けしていると、
「まだ元気だから」「うちは財産が少ないから」と言われることがよくあります。
けれど本当に大切なのは、
何を残すかよりも、
「どう想いを引き継ぐか」なのかもしれません。
「うちは、どうなるんだろう?」
そう思ったときが、考え始めるタイミングです。
手続きの話だけでなく、
ご家族の気持ちや背景も含めて、一緒に整理するお手伝いをしています。
相続のこと、少し話してみたいなと思われたら、
どうぞお気軽にご相談くださいね。

